星空に想う
カズ先生が小学校4年生の時、担任のK先生は理科系の若い先生だった。
小学校の先生は全教科を教えられるのだが、やはり先生にもその養成コースによって
得意な教科というものがあるらしい。
K先生の理科の授業はとても楽しく大好きだった。
ある日K先生は「今、反射望遠鏡を組み立てている。
できたらみんなにも見せてあげる」と約束された。
望遠鏡はただ筒のようなものと思っていたので、先生が説明する反射望遠鏡の仕組みは
よくわからないままに、自分たちが想像しているものよりも相当すごいものらしいと
先生の熱い口調に胸が躍った。
夏休みに入る前についに反射望遠鏡は完成した。
半世紀も前のこと、それは画期的な出来事だった。
夏休みに、先生から校庭での天体観測に招待された。
校庭のど真ん中に設置された反射望遠鏡は立派で、
まるで宇宙ロケットを見るかのような心地がした。
先生が星の名前を説明した後、交替で台に載って覗くのだが、
今のように予備知識があるわけでもなく、催眠術をかけられたように、
ファインダーのなかの星は宝石のように輝いて見えた。
その夜から天文マニアの少年が何人も誕生し、私もそのひとりであった。
当時の東京の空は、今よりもはるかにきれいだったと思うが、
理科の教科書に載っている天の川はかなり誇張されていると思っていた。
天の川は天体望遠鏡でしか見ることができないとも思っていた。
その後、両親の郷里、石川県の田舎で満天の星とともに、
まさに「ミルキーウェイ」を見た夜の感動も忘れられない。
今夏、伊豆の大島で、木星、夏の大三角形(ベガ・デネブ・アルタイ)、
おまけにペルセイウス流星群を見ることができ、50年以上も前の
あの小学校の校庭へとタイムスリップした。
あのK先生も、既に鬼籍に入ってしまった。
ご冥福を祈るばかりである。
2009年09月09日 09:35 | | コメントを読む (0) | コメントを書く
