最後の授業
世界で有名な「最後の授業」は2つあります。
一つはフランスの文学者、アルフォンス・ドーデの『月曜物語』に出てくる
アメル先生の『最後の授業』で、普仏戦争でフランスが負けたため、
アルザスはプロイセン王国(ドイツ帝国)領エルザスになって、
ドイツ語しか教えてはいけないことになり、
先生もこの学校を辞めなければならないという設定です。
これがフランス語の最後の授業だと語り、アメル先生は
「ある民族が奴隸となっても、その母語を保っている限りは
その牢獄の鍵を握っているようなもの」
とフランス語の優秀さを生徒に語り、最後に黒板に「フランス万歳!」と書いて
「最後の授業」を終えるという話です。
もう一つの「最後の授業」は比較的新しく、末期ガンで医師からは余命数カ月と
診断されたカーネギーメロン大学のランディ・パウシュ教授の特別講義
「子ども時代に抱いた夢の実現」と題した最後の授業です。
講義の最後で「この講義は、いまこの講堂にいる皆さんに向けたものではありません。
本当は私の子どもたちに向けたものなのです」と語りました。
パウシュ教授の講義はYouTubeにアップロードされ世界的に話題を呼んだだけでなく、
書籍化され、世界中でベストセラーとなりました。
ところで実は私も2月に大学での最後の講義を終えました。
昨年3月に学内向けに自分の大学時代の研究をまとめた記念の最終講義をしましたが、
本年、特任教授として1年間受け持った学生たちに、
一般の授業としての正真正銘の最後の授業をしました。
ドーデに出てくるアメル先生やパウシュ教授のような
格調高い人生の思いを込めた授業というより、
一人の大学の先生のふつうの最後の授業でした。
でもそれだけに淡々としたものだったのですが、
正直、ここまで聞いてくれた教員養成系の学生たちに
「ありがとう、どうぞよい先生になってください」
と心から感謝の気持ちが溢れでました。
教室を出て、研究室に戻る道で、しみじみ「よい教師人生だったなあ」
との思いに包まれました。
人生の1ページはこのように静かにめくられていくのだとあらためて思いました。
2010年02月24日 09:57 | | コメントを読む (1) | コメントを書く

コメント
アルザス人の母国語はアルザス語。
アルザス語はドイツ語の方言です。
Posted by: 匿名 | 2010年04月10日 01:29